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【松本の治水】牛伏川(うしぶせがわ)の歴史を歩く。

知り合いがすごい良かったと薦めてくれたので、長野県松本市の牛伏川を散策しに行ってみました。リスに出会ったと聞いたのでワクワクして行ったんですが残念、今回見ることはできませんでした。その時に学んできた牛伏川の歴史が面白かったので紹介したいと思います。良かったらお付き合いください。

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牛伏川は松本平に流れ込む河川で、その護岸は明治から大正にかけ整備されており、2012年に重要文化財に指定されています。散策の様子は動画に撮ってきたのでこちらをどうぞ。

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www.youtube.com

 

 

下の地図の赤丸のところに無料駐車場があります。今回は一番スタンダードな青丸にある小屋まで川沿いをさかのぼるコースを歩いてみました。ペースにもよりますが、往復3㎞でおよそ一時間半ほどかかります。小屋の先も登っていくことはできますが、本格的な登山になり、今回は軽装な上、体力に自信がないので断念しました。(行きたいけど病み上がりなんです・・・。)

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こちらが牛伏川。階段のようにきれいに整備された護岸が美しい。

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これはフランス式階段工と呼ばれるフランス式の砂防施設です。牛伏川の源流は地盤がもろく、大雨などで土砂が流れ川底が上がってしまい、度々下流域に水害が起こっため、明治政府はフランスで土木治水学を学んだ池田圓男(いけだまるお)に牛伏川の治水事業を進めさせました。

 

見にくいですが、こちらが下流(松本平)に流れ込んだ土砂の様子。

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フランスで土木治水学を学んだ池田圓男(いけだまるお)。

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この治水設備は、階段状になっていることで川の傾斜が緩やかになり、水の勢いを弱め、下流への土砂の流出を防ぎます。下の写真は最初に見ていただいたフランス式階段工があった場所の堰堤(えんてい/治水のための設備)の様子です。

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今では見られない高低差のある巨大な堰堤です。しかし、これだと落差が大きすぎて水圧で落下地点の川底を削ってしまい堰堤が崩壊してしまう可能性があったため、先ほど見たような長い距離を使った段数の多い階段(フランス式階段工)に修正されたというわけです。

 

そして下の写真のような姿に改修されます。

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源流までこのような堰堤が大小100基以上設置されているのだそうです。

 

また、上の写真を見ていても気づいたかもしれませんが、この石畳よくよく見てみると、ただ石が無造作に置かれているわけではなく石垣のように整然とはめ込まれているのがわかります。

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空石積み(からいしづみ)の技法が使われており、コンクリートを使用していません。(下の写真左側)

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この緻密な職人技術が牛伏川の美しさの秘密なのかもしれません。こういった伝統的な技法が、令和の今もちゃんと治水の役割を果たし、松本平を守っていることを考えると昔の人達の知恵と技術に感服してしまいます。

 

とはいうものの、川をさかのぼっていくとだんだんと造りが荒くなっていくのがわかります。それは建造された時期によるのだそうです。予算が違ったのでしょうか?その辺はわかりませんでした。

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その違いはこんな感じで一目瞭然です。

↓源流に向かうほど石の形がばらばら。

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↓こちらは石の形がそろっていて美しい堰堤。

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このように歴史を勉強しながら歩くのも面白いですし、ただ歩いているだけでも空気が冷たく気持ちよく、様々な花が咲き、蝶が舞い、運が良ければリスやカモシカに会うこともできます。この牛伏川はめちゃめちゃおススメの散策スポットになりました!(お金もかからないし笑)お近くの方、特に松本の方は地元の水を守ってくれているこの場所にぜひ出かけてみてください!

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最後までご覧いただきありがとうございました!