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餅をつけられたり穴をあけられたりする道祖神の悲哀

私の住んでる地域では街中を歩いていると道祖神(どうそじん)をよく見かけます。昔は気にもとめてませんでしたが、年齢とともになぜか年代を感じさせるあの古めかしい見た目と荒い造形にひきつけられてしまいます。気になって調べてみました。ご興味ある方は是非ご覧ください。

 

 

 

 

道祖神は何の神様か?

最初は村から出ていく者の旅の安全を願ったり、村に疫病が入ってこないよう祈るための村の守り神だったようです。次第に五穀豊穣縁結び・夫婦和合・子孫繁栄など多岐にわたってご利益が信じられ、また、道祖神の置かれている場所は子供の遊び場所となっていることが多かったことから子供達の守り神としても信仰されるようになっていきました。

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よく見かける男女寄り添う像(双体道祖神)<長野県松本市>

 

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石碑タイプも多いです。<長野県千曲市>

 

 

道祖神はどこに置かれているの?

道祖神は関東・甲信越地方に多く見られます。(特に長野県安曇野市は道祖神の数の多さで有名です。)村の中心や村の境界、三叉路(さんさろ/三つに分かれた道)や辻などに置かれていました。ちなみに私の住んでいる地域周辺では宅地開発・道路の拡張などで道祖神は移動を余儀なくされ、神社などの公共地にまとめて置かれており、本来置かれていた場所が既に分からなくなっています。もしかしたら市街地ではどこもこういうケースが多いのかもしれません。

 

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 いろいろな場所から集められてきた道祖神、馬頭観音、庚申塔など。

 

 

 削られていく道祖神

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道祖神 <長野県岡谷市>

 

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こちらは馬頭観音。<長野県岡谷市>

 

上の写真の道祖神と馬頭観音の上部がくぼんでいるのがわかるでしょうか。長野県諏訪周辺ではこのようなに穴の開いた道祖神も数多く見られます。これは子宝を願って棒でつついた跡が穴になったものです。この地域では「コンボータ、コンボータ」と大きな声をだしながら男児を、「コンボーメ、コンボーメ」といって女児を願って道祖神をつつくという風習があったそうです。つつく場所は決まっておらず、顔の真ん中が削れている道祖神もあるようです。なぜ棒でつつくのかはわかりませんが、棒でつつくという行為と子作りとを連想させていたのかもしれません。

 

ちょっと話は変わりますが、長野県千曲市法華寺の「鼻取り地蔵」は日照りになると

お堂から引きずり下ろされ五十里(いかり)川の念仏土井(どい)に放り込むという雨乞いの風習があったそうです。実物は見れませんでしたが、そのせいでお地蔵さんの鼻や両手はかけてしまっているのだとか。先ほどの道祖神といい、このお地蔵さんといい虐げられながらその神通力を発揮することを強要されています。なんだかかわいそうでもありますが、この地域密着型の神様達の心根の優しさが伝わってきて、恐れながら非常に愛着がわいて温かい気持ちになります。

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餅を張られる道祖神

私自身は一度も見たことはありませんが道祖神には餅などが塗り付けられていることがあるそうです。というのも、10月は神無月と言って、日本中の八百万の神様達が出雲に集まるために出かけてしまうのですが、道祖神様は参加の資格がないからと神様達に留守番を任され、自分たちがいない間に村に何かあったら報告しなさいと言われていたそうです。それを知った村人たちは村の事件をいちいち報告されてはたまらないと道祖神の顔や口に餅やぼた餅を塗り付ける風習が生まれました

ここまでくるとただの嫌がらせのような気もしますが、それでもバチをあてない優しい神様なんですね。

 

 

 

 道祖神のお祭り

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各地で1月14、15日頃に行われるどんど焼きは道祖神のお祭りとされる地域が多いです。(地域で呼び名は違います。)道祖神様が子供の守り神とされることから子供のお祭りとされる地域も多く、上の写真のような縁起物を燃やし、その火で餅や団子を焼き食べ無病息災を祈ったり、書初めを燃やしそれを炎で高く舞い上げ書道が上達することを願ったりします。

私自身も子供の頃、枝の先に色とりどりのお団子をつけて焼いて食べた遠い昔の記憶が思い出されます。

 

日本三大火祭りに数えられる長野県の「野沢温泉道祖神祭り」もどんど焼きのひとつです。こちらは子供の祭りではなく、勇猛な氏子達のお祭りです。その火柱は天にも昇るようで圧巻。近年では外国人からの人気が非常に高く、多くの方が海外から訪れるそうです。YouTubeで見つけたので載せておきます。


日本一の火祭り<野沢温泉の道祖神祭り>2018・4K

この祭りはまだ行ったことがありませんが必ず行ってみたい!

他にもオコト八日と言われる12月8日、2月8日にも各地で道祖神にまつわる色々な祭りが行われているようです。気づいていないだけで意外に道祖神にかかわるお祭りが身近にたくさんあるのかもしれません。興味のある方はお近くの地域のお祭りを調べてみてはいかがでしょうか。

 

 

以上道祖神についてまとめてみました。長野県中心の情報になってしまい、もしかしたら各地に全く違う伝承があるかもしれません。その時は各地域の風習を比べてみるのも面白いと思うのでご容赦ください(-_-;)

 

最後までご覧いただきありがとうございました!