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茅の輪(ちのわ)くぐりの由来とは?

6月後半になると下の写真のような「茅の輪(ちのわ)」をよく見かけます。参拝作法は神社によっては案内掲示があるので知っている方も多いと思いますが、由来まではなかなか知る機会がないと思います。よかったらご覧ください。

 

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2021年6月30日 諏訪大社下社春宮 (長野県諏訪郡下諏訪町大門)

 

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2018年1月 市谷亀岡八幡宮 (東京都新宿区市谷)

 

 

 

茅の輪(ちのわ)くぐりとは?

「茅の輪くぐり」とは茅(かや)などの植物で作った「茅の輪」をくぐることによって、心身を祓(はら)い清め、厄除け、無病息災などを祈願する儀式です。

神社では6月と12月の末日に世間万民の罪穢れを清めるため祓(おおはらえ)」の神事を行うのですが、6月の大祓は特に「夏越の祓(なごしのはらえ)」とも呼ばれ、6月30日の前後の一定期間、境内に「茅の輪」が設置されるのです。また、6月の「茅の輪」が一般的ですが、神社によっては12月の大祓の時にも設置するところもあるようで、上の写真を見ていただくと分かるように、1月の亀岡八幡宮に参拝した際にも茅の輪を見かけました。

 

 

茅の輪の由来とは?

この「茅の輪」は祇園祭りで有名な八坂神社(やさかじんじゃ/京都府)の御祭神・牛頭天王(ごずてんのう)の逸話に由来があるようです。牛頭天王は釈迦が説法を行ったといわれる祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神とされますが、日本ではスサノオノミコトと同一神ともされている神様です。

 

牛頭天王には次のような説話があります。

 

「大昔のこと、南方の国に嫁を貰いに旅をしていた武塔神(むとうしん/牛頭天王のこと)が、一晩泊る宿を探していました。ちょうどよさそうな村があったので武塔神は旅人の姿に化身し、裕福そうな家を見つけ外から声を掛けました。すると中から主人の巨丹将来(こたんしょうらい)という人物が出てきたので、一晩泊めてくれるようお願いしました。しかし、巨丹はそれを無碍に断り追い返してしまいました。武塔神はあきらめ、仕方なく今度は粗末な家の戸口を叩き、泊めてもらえないか尋ねました。偶然にもそこは巨丹の兄・蘇民将来(そみんしょうらい)の家だったのですが、蘇民は快く了承し、貧しいながらも粟飯で精一杯もてなしてくれたのです。

数年後、嫁を娶り子をなした武塔神が再び蘇民将来の前に現れ、自分が神であることを明かします。そして、かつて一晩泊めてくれたお礼に「茅(ちがや)で作った輪を身に着け、蘇民将来の子孫であると唱えれば無病息災が約束されるだろう。」と除難の法を授けて立ち去っていきました。言われた通りにやってみるとそれ以来、蘇民将来とその子孫達は巨丹をはじめとする村人達が飢饉や疫病で苦しんでいるときも、その災厄を免れることができたと伝えられています。」

 

牛頭天王に関する 似たような説話は全国各地にあるようですが、話の流れはだいたい同じです。この話しの中で除難の法につかわれた「茅で作った輪」が茅の輪の由来で、はじめは小さい物を身につけたり、あるいはフラフープのようにひとりずつくぐらせたりする風習だったそうですが、江戸時代には現在のように歩いてくぐるような大きなものが文献に見られるようになったそうです。この無病息災の儀式が大祓の神事と融合し、現在のスタイルになっているのです。

 

この「蘇民将来」の話は各地で語られ、岩手の裸祭りで有名な「蘇民祭」の由来にもなっていますし、伊勢周辺などでは玄関のしめ縄に蘇民将来という木札をつけて飾るところがあるのですが、それもやはり「蘇民将来の子孫なので厄災を近づけないでください」と祈願する風習なのだそうです。

蘇民将来は全国各地で無病息災のシンボルとして親しまれています。

 

あとどうでもいいですけど、蘇民と巨丹の名前がなぜ先に来るのかはわかりませんでした・・・。

 

 

茅の輪のくぐり方

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くぐり方の図を作成する技術がないので、亀岡八幡宮の写真を無理やり引き伸ばしました。見づらくてすみません(´・ω・)スマソ この写真のように∞の形に茅の輪をくぐります。左右左と計4回(最後に通り抜けるので)くぐるのが一般的ですが、神社により回数や順番が違ったり、そもそも回り込めないよう両脇がふさがれていて、ただくぐって通り抜ければいいだけのところもあります。写真のように案内があればいいですが、何もなくて両脇が回り込めるようなら一般的な作法でやってみてください。また、茅の輪をまたぐときは、その度ごとに一礼をするのが正式な作法のようです。

 

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諏訪大社下社春宮 「茅の輪」の案内板

 

 以上、「茅の輪くぐり」の由来などについてのレポートでした。知ってからくぐるとまた気分が違ってくるのではないでしょうか。上半期の穢れを落とし、新たな自分で残り半年健やかに過ごしましょう!

 

こちらは2021年6月30日の大祓式(夏越の祓)の様子です。よかったらご覧ください。神事では茅の輪をくぐりみんなで列になって境内を一回りするなど普段より少し大掛かりです。


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最後までご覧いただきありがとうございました!