御渡りはいつどこにどのようにできるのか。
御神渡りとは全面結氷した諏訪湖の氷が、昼夜の寒暖で収縮したり膨張したりすることにより割れ、1mほどせりあがった氷が山脈のように湖面を走る現象のことをいいます。その様子は神様が渡った跡であるとして「御神渡り」の名がつけられています。この現象は寒ければいいというわけではなく、湖の大きさや深さなどの条件が整わないと出現しないため、本州では諏訪湖でしか見ることができないと言われています。そんな御神渡りの瞬間をなんとか見れないかと思い、まずは御神渡りについて調べてみました。
御渡りの出現する時期
御神渡りは1~2月に見られることが多いと言われています。2000年以降2021年までの御神渡りが出現した年は2003・2004・2006・2008・2012・2013・2018年の7回です。具体的な日付は以下の通りです。
2003年 1/17
2004年 1/29
2006年 1/9
2008年 1/30
2012年 2/4
2013年 1/22
2018年 2/1
ご覧のように近年の御神渡りは1月下旬から2月上旬に起こる可能性が高いようです。タイミング的に今年(2022年)あたりそろそろ見られてもよさそうですが、最近は温暖化の影響もあるのか湖面が全面結氷することも珍しくなってきています。
御神渡りの出現する気象条件
御神渡りが出現する過程を説明します。まず諏訪湖が全面結氷します。
そこからさらに寒さが増すと、湖面の氷が収縮して亀裂が生まれます。
そのまま寒さが続くと亀裂を埋めるように再凍結し、今度は逆に寒さが緩むと氷は膨張し始めます。
そうすると湖面に両側から膨張圧力がかかり、逃げ場のなくなった氷が亀裂部分に沿うようにせりあがり御神渡りが出現するというわけです。
この状態を作るには、諏訪湖の氷の厚さが10㎝以上になり、かつ最低気温がー10℃程度の冷え込みが数日続く必要があるそうです。気象庁のデータを見てみると、2020年までの30年間の諏訪の平均最低気温は1月は-5.5℃で2月が-5.0℃となっています。ただ、最近は温暖化の影響かそれほど寒さが続かなくなってきているので、気象条件が整うのは年々難しくなっているようにも感じます。上記のように御神渡りができない年も多く、地元では出現しなかった年を「明けの海」と呼んでいます。
氷が厚くなりやすい日はどんな日?
もちろん寒い日なんですが、氷が育つには天気にも影響を受けます。
まず、風が強いと氷ができにくいです。川の動いてる水が凍りにくい事からも分かるように水に動きがない方がいいようです。
意外だったのは雪の日。イメージで雪で氷を強化してくれるような気がしたんですが、氷を覆った雪が氷点下の冷たい空気から氷を守ってしまいます。雪で作ったかまくらの中が温かいのからもわかりますね。
曇った日も空気中の水分が日中の温かさを地上に閉じ込めてしまうそうなので、結論としては湿度の低い晴れた風のない寒い日が続くのが御神渡りへの近道のようです。
御神渡り出現スポット。
まず諏訪湖は氷上は絶対立入禁止です。昔、お子さんが落ちて亡くなられた事故もあったので、遊び半分で乗ったりするのはやめたほうがいいです。といっても乗る人は乗るので、市の職員さんや警察が見回り注意していましたが、他の仕事ができなくなるので地元民としてはそういった迷惑行為はやめていただきたいです。あくまで湖岸からの観察をおすすめします。
御神渡りはランダムにどこでもできるわけではなくある程度できる場所が決まっています。南北を縦に2本走る筋を「一の御渡り」「二の御渡り」、東西に走る1本を「佐久の御渡り」と呼びます。
例えば近年の御神渡りの場所を地図に表すと下のようになります。
緑「一の御渡り」
ピンク「二の御渡り」
黄色「佐久の御渡り」
2018年
2013年
2012年
2008年
2006年
多少無理やり感は否めませんがこのように3本そろうと御神渡りができたと認定されます。北側のぼこっと張り出した湖畔は赤砂公園の辺りになり、南側の上川の河口と結ぶラインが御神渡りが起きやすい起点になっていることがわかります。
御神渡りは神様が渡る道?
諏訪湖の南には諏訪大社上社、北には諏訪大社下社があり、「一の御渡り」「二の御渡り」は上社の男神が下社の女神に会いに行った足跡とされています。諏訪大社に祀られているの男神と女神と言えばタケミナカタノミコトの姫神のヤサカトメノミコトです。一方「佐久の御渡り」は諏訪湖の西にある小坂鎮守のシタテルヒメ(タケミナカタの姉か妹神)と佐久の新海三社のオキハギノミコト(タケミナカタの子神)が湖上で面会した跡だとされています。諸説ありますが、叔母さんと甥が湖上で会うって全くロマンチックじゃないなと思ってしまいました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
このページには御神渡りの写真がありません。御神渡りが出現したら必ず、撮りに行ってアップします。
御神渡りはないですが、凍った諏訪湖の周りを自転車で一周してみたのでよかったらご覧ください。