縄文のビーナスの体に描かれた模様の意味とは⁉
先日、長野県立歴史館に国宝土偶五体が集結する企画展がありました。まだ一度も国宝土偶を見たことがなかったのでこれは行かなければならないと思い、電車で千曲市まで行ってきました。行ってみると、地の利といいますか東京の展示会と違い、館内は人もまばらで五体とも十分に堪能することができました。
帰ってきてから下の開物発事さんのブログを読んでふと気づいたことがあり少しつづっておこうと思います。
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こちらの記事は縄文土器や土偶の模様の中に一定のパターンがありそれが蛇を象徴するものであるということが解説されているのですが、模様に意味があるというのはなんとなく想像できましたがパターンがあるという考え方は目からうろこでした。国宝「縄文のビーナス」について思うとこがあるので、ちょっと奇想天外な意見かもしれませんがお付き合いください。以下爬虫類の画像も出てきますのでご注意ください。
展示物は撮影禁止だったので長野県立歴史館のパンフレットの写真をそのまま使わせていただきました。こちらは言わずと知れた「縄文のビーナス」です。右のオレンジの丸の中の模様ですが、このデザインが何か不自然だなあと思っていたのです。着衣を連想する模様なら特に気にもならないのですが、この曲線でできた謎の五角形のような形にどうも納得ができない。
そこで縄文人はパターンを持っているという考え方を聞いてピンときました。
こういうパターンが左右に対称的に描かれているのではないでしょうか。実はこの模様、後ろ姿にもあるんです。実物の写真がないので、他の土器で写真で似たような表現を持っていたものを載せてみます。
このお尻の部分。縄文のビーナスには上の写真のような”ふちどり”こそされていませんが、同じように上部が扁平にならされ、この逆ハートマークが浮かび上がるようになっています。ネット上で簡単に探せるので探してみてください。
ではこのハートマークは何の模様(パターン)なのでしょうか。これは完全に私見ですが、トカゲの顔だと思っています。最初は縄文土器には蛇の模様が多く描かれているため蛇の顔なのかなと思いましたが、どう見ても蛇はつり目ではないし、ハート形の頭をしていない。しかし、トカゲならば納得できます。
トカゲと蛇の画像(嫌いな人は見ないでください。)
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蛇は世界各国の古代文明で神聖視されており、生命力の象徴ですが、トカゲもまた尻尾を切ってもまた生えてくるその姿に古代人は神秘的な力を見出したのではないでしょうか。このトカゲの頭をかたどったパターンを顔の仮面はもちろん、女性の体のラインに埋め込んだのが縄文のビーナスではないでしょうか。一方、頭に巻いている帽子ですが、これは蛇のパターンが多数描かれており、上から見ると渦巻き模様とぐろ模様になっています。帽子には蛇の生命力を宿らせたのではないでしょうか。
乳房や出っ張ったお腹から土偶が妊婦であることはほぼ間違いないと言われています。古代においておそらく、衛生環境が悪い中での出産は母子ともに今よりさらに命がけの行為だったに違いありません。また、人間の寿命も短かった時代で子供の数がその村の運命を左右するため、無事出産ができることが母親にとっても、集落全体にとっても大事なことだったと思うのです。そのため妊婦と生命力の象徴である爬虫類を頭や体に融合させた像を生みだしたのではないでしょうか。手が完全な形を持たないのも、蛇と人間が融合した形を表現しているのではないかと思えてくるのです。
土偶は意図的に割って使った形跡が見られるそうです。それは儀式の中で割る行為が重要な意味を持っていたためだと考えられています。しかし、縄文のビーナスはほぼ完全な形で見つかったそうです。誰か一人のために作った土偶ではなく村のすべての女性を守った特別な土偶だったのではないでしょうか。
大分妄想が激しくなってきましたが、以上が縄文のビーナスを見て思ったことでした。
最後までお読みいただける方が万が一いたらありがとうございました(笑)
(追記:2021/5/2)
最近こんなツイートを見つけました。目からうろこです。
日本考古学史上最大の謎「土偶の正体」がついに解明 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った! https://t.co/yxGBDF1Q1t
— ヤギの人(マスク) (@yusai00) 2021年4月25日
土偶は女性ではなく、植物霊祭祀の痕跡で「当時の縄文人が食べていた植物をかたどったフィギュア」説。出土した土偶の形と、当時の人々がそこで利用していた植物が一致するそう。 pic.twitter.com/XKXu3EKAVo
なな、なんと縄文のビーナスはとちの実の姿だというのです。ほかの土偶と植物のイメージの相似もなるほど!と思わざるを得ません。これは人類学者の竹倉史人氏の説で、土偶を植物をかたどった姿だとしています。
竹倉氏の著作もすでに上梓されています。(画像はAmazonへのリンクです。)
これは完全にやられました。 縄文のビーナスに関していえば、あのハート型はとちの実の意匠だったのです。そして、その独特な顔はマムシであり、マムシはとちの実を食べるネズミを食べてくれる用心棒なのです。それをただのアイデアだけでなく考古学的な年代、食文化、土偶の分布状況などで証明していくため、反論の余地がありません。そして妊婦の造形は植物の実りと人間の妊娠を重ね合わせることで豊穣を願っているととれるのです。ハート形を動物の輪郭だと思ったのが浅はかでした。まだまだ、話題になってる程度の竹倉先生の説ですが、必ず教科書を変える大発見だと信じています。土偶に興味のある方はぜひ読んでみてください!