縄文土器で縄文人の心を読み解く② みずち編 井戸尻考古館/長野県諏訪郡富士見町
富士見町井戸尻考古館の特徴的な縄文土器の展示方法は、模様のパターン別に分類して解説をしてくれるところです。(2019年10月現在)縄文土器に詳しくなった気にさせてくれるのが素敵です!前回は「蛙」の模様を紹介しましたが、今回は「みずち」のコーナーを紹介します。
これがみずち文深鉢です。
展開図のパネルがありました。
それでは「みずち」とは一体どんな生き物なのでしょうか。
調べてみると「みずち」とは伝説上の生き物で、日本の神話・伝説にでてくる水と関係があるとみなされる竜、伝説上の蛇または水神なのだそうです。学芸員の方がこの模様は想像上の水棲生物に違いないと考えこの名前を付けたようです。詳細のパネルです↓
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パネルは上の「みずち深鉢」を詳細に分析しています。
縄文土器は粘土の輪を作り、それをくっつけ積み上げて高さをだし、器の形にしていきます。その積み上げた痕を輪積み痕(わづみこん)と言います。上の土器の写真下部に何段か横縞がついていますがこれが輪積み痕です。本来なら、埋めて消してしまうものですが、パネルによるとわざわざこの土器のようにそのまま残しているのは水中を表現しているのではないかと推測しているようです。
古代中国の少数民族の神話の中にはみずちのような水棲生物が大地を生み出したり、洪水を引き起こしたりするという話があるようです。そのことから横縞の上部に描かれている楕円の模様は生まれたばかりの大地をあらわしているのではないかということが書かれていました。
関係ないかもしれませんが、確かに日本にも地下にナマズがいて、それが暴れると地震が起こるという伝説ありました。鹿島神宮と香取神宮のナマズの頭と尾を抑えている要石(かなめいし)を見に行ったことがあります。地震大国ならではの伝説です。
こちらは鹿島神宮の要石。(茨城県鹿嶋市)
こちらが香取神宮の要石。(千葉県香取市)
鹿島神宮にはナマズを押されつけている像もありました。
縄文人も地中に水棲生物がいると考えたり、あるいは水棲生物が大地を生み出したり、災害を引き起こしたりしているといったイメージを持っていたとしてもおかしくはないと思います。もしくは縄文時代もしくはそれ以前に流入してきた大陸の人の思想が直接影響した可能性もありそうです。
みずち文に目を慣らそう
井戸尻考古館に展示されているみずち文深鉢(みずちふかばち)
みずち文大深鉢(みずちもんおおふかばち)
頭部はきまった形はないようですが、その三日月のような胴体は特徴的で、同じ生物をモチーフにしていることは間違いないようです。
他にもまだまだみずち文の土器が展示されていました。興味のある方、お近くにお住まいの方はぜひ実際に行ってみてください。いろんな角度から観察できるので自分だけの新しい発見があるかもしれません!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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井戸尻考古館ホームページ
→http://userweb.alles.or.jp/fujimi/idojiri.html
信濃境駅から歩いて15分。