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縄文土器で縄文人の心を読み解く③ へび編  井戸尻考古館/長野県諏訪郡富士見町

 

繰り返しになりますが、富士見町井戸尻考古館の特徴的な縄文土器の展示方法は、模様のパターン別に分類して解説をしてくれるところです。(2019年10月現在)前回、前々回につづき今回も縄文土器の模様のパターンを紹介します。今回が最終回のへび編です。

 

へびは世界中のいたるところで古代より神聖視されていた動物です。エジプトのツタンカーメンの黄金のマスクの額についたコブラは有名です。仮面全体のシルエットも蛇を想起させます。

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ツタンカーメンの黄金のマスク by MykReeve

Wikipediaより転載

 

こちらはギリシア神話に出てくる名医アスクレピオスが持っていた杖です。医療・医術のシンボルとされています。こちらでも蛇が特別な力を持つことを暗示しています。

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アスクレピオスの杖 by Ddcfnc

Wikipediaより転載

 

こちらはナーガといいます。インド神話に起源をもつ蛇の精霊、あるいは蛇神です。

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ラオス公園の像。ナーガに守られたブッダ。by jpatokal

Wikipediaより転載

 

以上のように洋の東西を問わず世界中のいたるところで蛇が神聖視されていたのがわかります。自分よりも大きな生き物を丸呑みしてしまう姿、恐ろしい猛毒、脱皮し何度も新しい姿に蘇る様子など、古代の人間にとって蛇は計り知れない神聖な力を持った生き物に映っていたのかもしれません。

 

 

それでは井戸尻考古館に展示されていた土器を見てみます。

 

蛇文深鉢(じゃもんふかばち)

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 とぐろを巻いているのでわかりやすいです。この土器から蛇の頭が矢印で表現されていることがわかります。

 

蛇文深鉢(じゃもんふかばち)

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先ほどの土器からこちらも矢印のような部分が蛇の象徴であることがわかります。

 

蛇頭半人半蛙交会文深鉢(じゃとうはんじんはんあこうかいもんふかばち)

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これは前々回解説した半人半蛙文(はんじんはんあもん)の合わせ技です。これに至ってはもはやただの矢印になってしまっています。ただ、多少抽象的には変化していますが、これらの蛇文は非常にわかりやく描かれています。

しかし、最近知ったのですが、これらの土器は一見関係ない部分に見えている模様の中にもパターン化された蛇の模様が多数隠されているらしいのです

 

 

そのパターンに関しては参考にしている方の記事があるのでこちらをご覧ください。画像が多いのですぐに読めるとおもいます。その後に↑の蛇頭半人半蛙交会文深鉢を見ると蛇文だらけであることがわかると思います。

↓       ↓       ↓

語る縄文土器 ヘビとヒト 古代の物語 無文字時代の伝達手段【福島県立博物館】 - ものづくりとことだまの国

 

 

 

 

 

 

(突然ですが以下性的な内容も含みます。)

 

 

 

 

 

 

 

つづいてこちら。

 

野椎文鉢(のづちもんばち)

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野椎(のづち)とは諸説ありますが、蛇のような姿をした鹿も丸呑みしてしまうという伝説上の生き物です。こちらも蛇文に近い形をしています。

 

ここからは自分の妄想が大分入ってしまいます。御承知おきください。

蛇文もそうですが特にこの野椎文鉢(のづちもんばち)を見て思うのですが、男性器を象徴しているように思えてならないです。下の写真も見ていただきたいのですが、こちらもこのあたりの遺跡で発掘された陽石という石なのですが、男根をかたどっているとされています。

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 館内のパネルでは炉の横に添えられるように置かれていた様子が展示されています。

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 こんな形の石をわざわざ時間をかけて削って作ったことからも、子孫繁栄がこの時代の最大関心事の一つだったことが推測できますし、炉端にあるということは食と子孫繁栄のイメージに強いつながりがあったとも考えられます。ということは、調理道具に飾られた蛇文が性的な意味を持っていたとしてもそれほどおかしくないと思いました。

 

上で見てきたような高さのある深鉢は煤(すす)やおこげの付着から一般的に煮炊き用に使われていたとされています。古代の人たちにとって食べることが子孫繁栄のエネルギーを手に入れるという強い意識があったとすれば、男性器を象徴し、霊的な力を持つ蛇神の描かれた土器で煮炊きした料理を男性に食べさせる(あるいは自ら作って食べる)ことで精力がさらに強くなると考えたのではないでしょうか。現代人で例えたら、マムシドリンク飲んだり、ウナギや牡蠣を食べて精力をつけるような気持ち(そんな人いなかったらすみません・・・)を想像してしまいました。それのスピリチュアル版といったところでしょうか。

 

ちなみに井戸尻考古館には女性器を連想させる土器も展示されていました。

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こちらも同じく展示されていた縄文中期の「日本最古級の、顔料で描かれた具象的な絵画」が描かれた壺なのですが女性が何かを産み落としているような絵が描かれています。

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 ここからも土器と子孫繁栄の強い結びつきが感じ取れます。

 

 最後は、かなり根拠のない妄想が広がってしまいましたがこれも縄文土器の面白いところです。他にも様々な土器、石器、陽石などの資料が多数展示されていました。ちゃんとした学芸員さんの解説パネルを読むこともできます。写真だと一面しか見れないので、ご興味ある方、近くにお住まいの方は実際に井戸尻考古館に行ってみて蛇文や蛙文、みづち文のパターンが隠れているのを探して、いろんな妄想広げてみてください!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 前回の記事

↓    ↓

www.kenkobit.site

 

 

前々回の記事

↓    ↓

www.kenkobit.site

 

 

 

 

アクセス

井戸尻考古館ホームページ

http://userweb.alles.or.jp/fujimi/idojiri.html

 

信濃境駅から歩いて15分。