大嘗祭の秘儀にまつわる破廉恥な噂⁉
まず大嘗祭がわからない方は
こちらから確認してください。
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大嘗祭の秘儀はいつ・どこで行われるの?
大嘗祭(だいじょうさい)の秘儀は令和元年11月14日夕から15日未明にかけて行われます。天皇は大嘗宮(だいじょうきゅう)の中で八百万の神(天神地祇)に食べ物を供え、共に食事をし、国民の平安や五穀豊穣を祈願します。
大嘗宮とは大嘗祭のためだけに皇居の東御苑(ひがしぎょえん)内に建てられる建物です。その大嘗宮は三つの重要な建物を中心に構成されています。
- 廻立殿(かいりゅうでん)
- 悠紀殿(ゆきでん)
- 主基殿(すきでん)
この3つです。ここでは大嘗祭の中で悠紀殿供饌(ゆきでんぐせん)の儀と主基殿供饌(すきでんぐせん)の儀という重要な儀式が行われます。この儀式こそ、口伝でのみ伝えられる秘儀とされているのです。
予定では令和元年11月14日に、まず天皇陛下は廻立殿(かいりゅうでん)で沐浴し、禊(みそぎ)をします。そして、夕刻より悠紀殿の中に入っていき天皇自ら神に食べ物を供え、ご自身も召し上がることにより神と共に食事をし、日をまたいで15日深夜から未明にかけて主基殿でも場所を変えて同じことを行います。
この悠紀殿・主基殿内で神と共に食事をする儀式が口伝の秘儀であるとされ詳細が公にされず、あらぬ噂を呼びました。
平成の大嘗祭の折も、国会で相当な国費を使うこの儀式が「信仰の自由に違反するという声もあるからその秘儀を主権者たる国民に公表してはどうか」との声もあがりましたが、政府は「儀式の性格上、その公開にはおのずから制約があるものと承知している。」と答え公開を拒否しています。
そんなこと言わたら色々勘ぐっちゃうのもわからなくもないですよね。
破廉恥な噂とは?
人々が噂したのには理由があります。
①まず口伝の秘儀という言葉の神秘性。
②この悠紀殿・主基殿の最奥部に入れるのが天皇と采女(うねめ。女官)2人だけだということ。
③悠紀殿・主基殿にはそれぞれ真ん中に八重畳(やえだたみ)という布団が敷かれていること。
④戦前の国定教科書の大嘗祭の説明に「神と天皇とが一体になる神事であって、大日本が神の国であることを明らかにするもの」といった記載があり、どうやって一体になるのか人々の好奇心をかきたてる要素があったこと。
こういった理由から昭和の初期に活躍した有名な民族学者・折口信夫氏や日本史学者らが、八重畳の布団の中に亡くなった前天皇の亡骸と天皇が一緒にはいる儀式だといった説や、一緒に正殿に入る采女(うぬめ)と性行為をする儀式だという説を言い出し始めました。
そこからは様々なうわさが飛び交い天皇は悠紀殿・主基殿でトランス状態になるだとか
稲穂に精液をかける儀式が行われるとかいった妄言としか思えないようなこともまことしやかに語られるようになったのです。
本当はどうなの?
これらの説を支持する声は今はほぼないと言えます。一般に布団はニニギノミコト(天皇の祖神)が布団にくるまって天孫降臨したという神話に模して、ニニギノミコトを地上におろすために用意するものだとされていますし、宮内庁はあまりに下世話な噂が広まってしまったので「儀礼を通して天皇が布団を触ることはない」ということや「天皇が神格を得るというような秘儀はない。」ということを平成の大嘗祭前に発表しています。上記の破廉恥な噂はこの宮中儀式にかかわっていない学者の想像ですが、平成の大嘗祭に奉仕した鎌田純一氏は著書の中でその秘儀を詳細に記述し、その意味を解説しています。もはやWikipediaにも儀礼の段取りの詳細が載っており秘儀でもなんでもなくなってしまっているような気もします・・・。
いつの時代も人間は下世話な話題が好きなんだなあと思いました。
何でもかんでも明かせばいいってもんでもないと思いますが、それでも天皇と神様が一緒に食事をする儀式なんて外見が普通の儀式だったとしても神道好きはワクワクしてたまらないですよね。
11月14日。
本当の令和が始まるぞ!
そんな気持ちで一夜を過ごしてみたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
<追記>
大嘗宮一般公開にも行ってきたのでこちらもどうぞ。
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<おすすめ本>
こちらが長年宮中祭祀にかかわってきた皇學館大学名誉教授だった鎌田純一さんの著書です。こちらに大嘗祭の儀礼について詳細に書かれています。大嘗祭を詳しく知りたい人たちのバイブルです。世間に飛び交っていた様々な妄言が何一つ根拠のない事だったことがわかります。興味のある方はこちらからどうぞ。
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- 出版社/メーカー: 錦正社
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